
こんにちは。連日うだるような暑さが続いていますが、皆さん元気にお過ごしでしょうか?今回ブログを担当させていただく、共同研究員の近藤です。
田中研のブログは、学生さんや先生方のいつもと違った一面が垣間見えて、毎回楽しく読んでおります。何を書こうかと大変悩みましたが、今回は企業の研究開発についてお話しようと思います。ただ、企業の研究開発といっても、分野、部門(基礎研究、製品開発など)、立場が違うと全く異なる内容になるかと思いますので、その点は私の経験としてご容赦ください。
企業の研究開発における特徴の1つ目は、開発の先に必ず顧客がいるという点です。いくら自分が素晴らしいと感じる機能を持った製品でも、顧客のニーズを満たしていなければ、残念ながら売れることはありません。つまり、顧客で評価されない製品は、良い製品とは言えません。
そのため、企業の研究ではまず、顧客が求める目標値が開発の出発点となります。その目標を達成するために、段階的なマイルストーンを設定して開発を進めていくのが一般的です。
とはいえ、現実はなかなか一筋縄ではいきません。顧客の戦略上、最初からすべての要件が明かされるとは限らず、後になって新たな目標が追加されたり、大幅に変更されたりすることもあります。
こうした変化に対応するには、顧客の要求をそのまま受け入れるだけでなく、「将来的にどのような性能が求められるか」「顧客自身が気づいていないニーズは何か」といった視点を持つことが大切です。自ら市場の全体像を把握し、先を読んだ改良を進めておくことで、結果的に目標達成率が高まり、製品が採用されやすくなります。
2つ目の特徴は、ひとつの研究テーマに対して、驚くほど多くの人たちが関わっているという点です。研究員だけでテーマが完結することはなく、事業部や営業、製造、知財など、さまざまな部署のメンバーと一緒になって「どうしたらこの技術を世に出せるのか?」を議論しながら進めていきます。
その中でとても大切なのが、伝える力です。専門性の異なる多様なメンバーに、自分の考えや技術の意義をわかりやすく説明する力が求められます。
3つ目のポイントとして、高い専門性を持っている人は強いということです。もちろん、自分の研究テーマを進めていく上で専門知識があることは大きなアドバンテージになります。ただ、それだけにとどまりません。研究所の中では、「この分野のことならあの人に聞こう」と名前が挙がるようになります。
そうなると、自分のテーマを越えて、他の研究にも関わるチャンスが増えていきます。最前線のプロジェクトに声がかかったり、新しい取り組みがスタートするときに真っ先にメンバーに選ばれたり…。高い専門性が新たな仕事を引き寄せます。
ここまで、企業の研究について書かせていただきましたが、企業の研究員に必要なスキルは大学生、大学院生時代においても、十分養うことができます。ほんの少しでも「将来の自分」を意識しながら研究室生活を送ることで、いざ企業に入ったとき、スムーズに業務に入りやすくなるのではないかと思います。
最後になりますが、田中先生をはじめ、先生方には、田中研究室の一員として温かく迎えていただき、数多くのご助言・ご助力を賜りましたこと、心より感謝申し上げます。
今後とも至らぬ点も多々あるかと存じますが、変わらぬご指導・ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
写真は大学生最後の日に友人とみた夜桜です。時々、この写真を見ては大学生活を懐かしんでおります。