九州大学大学院工学研究院応用化学部門 機能材料化学分野 田中研究室

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 研究活動って人生の役に立つの?

 初めまして!助教に着任させて頂きました盛満裕真です。田中研究室で博士号を取った後、アメリカのペンシルベニア大学のOsuji Labでポスドクをしていました。写真は日本に帰る直前の集合写真です!逆さ虹が出てて縁起がいいですね!(たぶんレンズの汚れです…)

田中研のブログはいつも楽しく拝見していましたが、ついに私にもこのブログを書ける日がきて、とても嬉しく思っています!何を書くか悩みましたが、今回は先輩面させてもらい、学生向けに研究室でどんなことをするのか簡単にお伝えしながら、研究活動の楽しさや、それを通じて得るものを紹介したいと思います!

 研究室に入ると、個々にテーマを設定します。先生方が考えたテーマを選んでも良いですし、自分でテーマを考えても良いです!振り返ると、先生方や先輩方に教えてもらいながら、研究の手順を真似して、覚えて、考えて、少しずつ自分のモノにしていくことが大事だったなと思います。

 研究の手順の話が出ましたが、これは操作方法などの実験手順とは違います。研究活動では、下記の1-5のサイクルを繰り返すことで、少しずつ物事を明らかにしていき、未知の解明という大きな目標(研究テーマ)を達成していきます。
1. 何が知りたいのか(課題設定や仮説)
2. どうすれば明らかにできるのか(評価方法の検討、実験計画)
3. 実験
4. 結果
5. 考察

 学生実験等で既に経験しているであろう3-4も、もちろん大事ですが、実は1,2,5が特に大事で、研究者として一番楽しい時間です。1-5を反復する過程で研究者にとって最も重要な考える力や物事を多角的に見る力が鍛えられます。結果を見ては、これまで得た知識や知見を総動員して、高分子がどのような構造をもって、このような結果になるのか仮説をたてます。その仮説を証明するために次の実験系を考えて、計画を立て実行して検証します。慣れてくると実験律速になるので、実験中に結果を見ながら、「あー、こういうこと!?」と考え、次に何をすればいいのか模索できるようになります。有難いことに、田中研究室には非常に多くの装置があるので研究で遭遇する多くの課題を解決できます!

 さて、このように研究を楽しむには知識と見識が、そしてそれを培うために、自分でテキストや文献などで調べることが大事です。「調べ方なんて分かんないよ」と思うかもしれませんが、大丈夫!先生や先輩が探し方や読み方のコツから教えてくれます!そして、調べても分からなかったら、先生に聞きましょう!実は自分で調べること以上に人に聞くことが大事だったりします。なぜなら一人だと必ず限界がくるからです。だから研究室というチームが重要になってきます。チームで動くうえで重要なのは、先生にも先輩にも(後輩にも)ホウレンソウです!漢字で書くと報連相!いきなりゴツく難しそうに聞こえますね。私の認識ではホウレンソウは人に伝える能力、人に信頼される能力、人に聞く能力です!プレゼンやミーティングなどもホウレンソウの一部だと思います。これらって会社に入っても役立つと思いませんか?みなさんは、研究活動を通して先輩や先生に相談したり発表したりと、自然とホウレンソウを習得できます。これをマスターすれば、色んな人と良い関係を築けて、色んな人の考え方を吸収できます!

 ここまでの話を実感する頃、あなたは先輩になっているでしょう。後輩が安全に楽しく研究ができるように、教えようと伝えようと四苦八苦する中で、責任感や指導力、リーダーシップ力が育ち、自身の考え方もより洗練されていきます。後輩に尊敬されるって難しいんだなぁと思いながら、時に心を鬼にして注意したり、時に悩みを聞いて一緒に考えたり、メンタリング方法も学んでいくことになります。

 さて、簡単に紹介しましたが、案外、社会で使えそうな能力が身につくことが伝わりましたか?研究活動は、社会人としても科学者としても成長できるお得なシステムだと思います!しかも研究成果が出れば、学会にも行けて、国内外で繋がりが持てるし、視野も広がります!自分の人生のために、積極的に利用しましょう!何を習得するにもモチベーションが大事です。嫌だなーと思いながらすれば、面倒くさいだけで何も得られません。私は、コツコツと目の前の事に前向きに挑戦し続けることが、成長する近道だと信じています。そして何より学生の最大の特権は、失敗できることです。人より多く挑戦すると、人より多く失敗するものです。もし失敗したら、“しっかり反省”して、成長する糧としましょう!

 偉そうに書きましたが、私は研究室に入る前は成績が良かったわけでも英語が話せたわけでもありませんでした。研究室に入った時、「どうせやるなら全力でやるか」と思い、研究活動を通して、何でも前向きにやってみて、たくさん失敗して学んだことが今の自分を形成しているなぁと実感します。つまり、先生方、先輩方、後輩たちには人より多く迷惑をかけました!でもみなさん今でも仲良く接してくれます!感謝してもしきれません!

 田中研の助教として、たくさん挑戦したい学生を心待ちにしてます!昨日より成長した自分を目指して、教えてくれる人や支えてくれる人に感謝しながら、一緒に有意義な研究生活を楽しみましょう!そして私にたくさん聞きに来てください!もちろん、研究室に入る前でも、質問があれば、いつでも気軽にメールをください!

機能材料化学分野

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