九州大学大学院工学研究院応用化学部門 機能材料化学分野 田中研究室

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 インターンシップに行ってきました!

こんにちは!修士2年の田村です。

もう8月も終わり9月になってしまいましたね。
まだまだ暑い日が続いて、夏が終わった気がしないのは私だけでしょうか。
皆さま、今年の夏はいかがお過ごしでしたか?
私は、日本原子力研究開発機構さんのインターンシップに三週間ほど行って参りました。
茨城県の東海村にある大強度陽子加速器施設(J-PARC)の物質・生命科学実験施設(MLF)と呼ばれる研究施設にて「高分子薄膜の物性解析」という実習テーマで参加しました。
今回はインターンシップで体験したことや学んだことを紹介したいと思います!

MLFでは、大強度の陽子ビームを水銀の標的原子核にぶつけることで取り出した二次粒子ビーム(中性子やミュオンなど)を利用した多種多様な実験を行うことができます。
取り出した中性子を実験に利用するための設備はビームライン(BL)と呼ばれ、MLFの実験ホール内にはBL01からBL23まで、それぞれ研究分野や測定手法に合わせた特色の違うビームラインが設置されています。
私はこれまでに二度、BL16を利用して中性子実験を行い、研究に活用してきました。 (中性子実験については、過去のブログでも紹介されているので是非見てみてください!)

MLFでは、ビームラインなどのメンテナンスや改良は夏季期間に行われます。今回はちょうどその期間にインターンシップに行ったので、普段は入れない装置の内部などを見学させて頂きました。

中性子を扱っているMLFは遮蔽コンクリートであふれています。下の写真の様に、普段は分厚いコンクリートで覆われている、中性子線源(右側)に近い場所を見ることができました。

下の写真はBL02の中性子準弾性散乱・非弾性散乱分光器の内部です。中心の上から吊るした試料に、手前の銀色の筒から中性子を照射し測定を行います。壁面に並べられた六角模様の板はSi完全結晶ウエハであり、アナライザーです。Siウエハは一つ一つ押し曲げられて、試料を中心とした球面上に位置するように設計されています。このアナライザーを用いることで微弱な非弾性シグナルの測定を高効率かつ高いS/N比で実現しているそうです。
屈まなくても中に立っていられるこの広い空間は、普段は真空状態に保たれているため、見学できません。この装置内部に入っての一般見学は、私が初めてだそうです。

次にBL14の見学もさせて頂きました。BL14は冷中性子領域から熱中性子領域にかかるエネルギー領域での中性子非弾性散乱、準弾性散乱測定を行うディスクチョッパー型の中性子分光器です。
試料を入れたボトム(トップ)ローディング式ヘリウム循環型冷凍機を下の写真(左)の部分にセットして測定します。下の写真(右)はこの中の様子です。中を覗いてみると、ディテクター(縦線の入ったもの)が所狭しと並んでいました。なかなかお目にかかれない光景ですね。

見学の話が長くなってしまいましたが、実習テーマである「高分子薄膜の物性解析」についても少しだけ書かせてください。原子力間顕微鏡(AFM)や分光エリプソメトリーなどを用いて、高分子薄膜の表面や界面についての研究を行いました。
幸運なことに、今回の実習テーマは、私が所属する研究室での日々の研究と密接に関係するテーマでした。
そのため、これまでの研究結果や考察についてもディスカッションして頂くことができ、実験系の見直しや考察し直す良い機会でした。新たな課題や解決策につながると考えています。

そんなこんなで始まる前は長いと思っていた3週間もあっという間に過ぎました。

最終前日には、宿舎から近い場所で花火大会がありました。(下写真)
夏といえば花火ですね。そんな夏ももう終わりです。(笑)

今回のインターンシップでは、知識や見識がまだまだ足りていないということを実感しながらも、多くのことを学び、刺激的でとても充実した毎日を過ごすことができました。これからも充実した日々を過ごせるように精進していきます。

最後に、今回のインターンシップへ参加するにあたり、ご指導いただきました青木裕之先生はじめ、関係者の方々に大変お世話になりました。この場をお借りして感謝申し上げます。

機能材料化学分野

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