Research

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7. 非環状ピロール誘導体


7-1. トリピリノン

NCPに酸素存在下でCu(OAc)2を作用させることで、混乱ピロール部分が欠落した トリピロール化合物、トリピリノンの銅錯体が得られる。 酸添加によりCu(II)を脱離させることでトリピリノン配位子を単離することができ、 この化合物は様々な金属(Zn(II), Ni(II), Pd(II), Pt(II), Co(II))を配位することが できる(Org. Lett. 2002, Inorg. Chem. Commun. 2003)。


7-2. ピコリノイルピロール

蛍光標識剤として用いられるジピリン(BODIPY)やNCP環外周部窒素等で見られるような ピロールによる配位と、多くの配位子の部分構造として組み込まれているピリジンによる配位の 両方を持ち合わせる配位子、ピコリノイルピロールが合成されている。この配位子は1価の配位子と してはたらき、たとえば、Pd(II)、Pt(II)とはML2型の金属錯体を 与える(Chem. Lett. 2006)。さらに、ホウ素と錯形成した錯体(BOPPY)は、 大きくストークスシフトした蛍光を発する(Chem. Phys. Lett. 2007)。


7-3. 2,4-置換ピロール

2,4-位をカルボニル基で修飾したピロールは、固体中において独特の超分子構造を形成する。たとえば、4-ベンゾイル-2- ピロールカルバアルデヒドはピロールNHと4位のカルボニル基の間の分子間水素結合により、また、1-トシル-2,4- ビスヒドロキシメチルピロールは水酸基間の分子間水素結合により、一次元鎖を形成する。 (Supramol. Chem. 2007)


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