Research

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5. N-混乱カリックスフィリン


カリックスフィリンはポルフィリンの類縁体の一つであり、 ポルフィリンのメゾ位が部分的にsp3炭素となり、 柔軟な骨格と酸化還元活性なπ共役平面を併せ持つ非共役環状多座配位子である。 これに混乱という概念を導入したN-混乱カリックスフィリンは、 有機金属配位子の性質を有することから触媒への展開が期待されている。


5-1. N-混乱カリックス[4]フィリン

アセトンとアリールアルデヒドを ピロールと反応させると、 混乱ピロールのβ位連結部位が選択的にsp3炭素化された ジメチル置換N-Confused Calix[4]phyrinのアミド誘導体(DMNCP)が得られる。 Ni(II)、Cu(II)、Zn(II)などの錯体が合成されているが、 中でもCu(II)錯体はX線によって 解析された+2価のCu―炭素結合を持つ最初の例である。 (Angew. Chem. 2001)


5-2. 二重N-混乱カリックス[6]フィリン

混乱トライピランがジメチル炭素またはシクロヘキシル炭素で架橋された 二重N-混乱カリックス[6]フィリンとそのPt(II)錯体が合成されている。 フリーベースは二つのsp3炭素間を頂とした屋根形で、白金錯体は波形をしている。 白金錯体は吸収波長700 nm前半、発光波長を約1000 nmに示す近赤外色素である。 (Angew. Chem. Int. Ed, 2008)


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