こんにちは!
第9回は種子田が執筆させていただきます。
今回は茨城県東海村での中性子実験についてお話したいと思います。
いつもブログを見てくださっている方は、「前にも中性子実験の話があったような・・・」と思われるかもしれません。
確かに同じ原子力科学研究所(原研)なのですが、第6回でご紹介した大強度陽子加速器施設(J-PARC)ではなく、JRR-3という施設に行って参りました。
あまり馴染みがない方は「で、結局何が違うの?」と思われるはずです。
前者は名前の通り、加速器で加速させた陽子線を水銀ターゲットに照射して中性子線を作り出します。
一方、後者は原子炉での核分裂反応によって中性子線を作り出しています。
実は、このJRR-3は2011年3月に起きた東日本大震災以降、運転が停止していましたが、今年の2月、約10年ぶりに運転が再開されたのです!
このためJRR-3での実験は初めてで、非常に楽しみにしていました。
下の写真はJRR-3のビームホールです。この建物の中に中性子反射率計だけでなく中性子散乱分光器や中性子スピンエコー分光器など様々な装置が設置されています。
JRR-3のビームホール
実験には、JRR-3内にあるMINEという中性子反射率計を使わせていただきました。下の写真はMINEの外観です。写真の右側から中性子線が入ってきて、スリットを通して試料に照射されます。試料の高さ、角度()や検出器の角度(2)を各モーターで制御し、反射した中性子はスリットを通して検出器に入っていきます。MINEは装置構成が分かりやすく、反射率実験を理解するのにも非常に良い反射率計だと感じました。
約1週間の実験は大きなトラブルもなく、無事に終えることができましたので、あとは解析によって目的の主張ができるかどうかです。
実験に際して大変お世話していただいた京大 日野正裕 先生、東大 小田達郎 先生、誠にありがとうございました。
MINEの外観
今回、貴重な実験に参加させていただき、ありがとうございました。
中性子反射率実験に興味がある方は、下記のページをご覧になってください!
・アメリカ国立標準技術研究所(NIST)のページです。
反射率実験がどのような光学系か非常に分かりやすいです。
https://ncnr.nist.gov/instruments/magik/d3-science-v4/demos/reflectometer_alignment_sim_three.html
・高エネルギー加速器研究機構(KEK) 山田悟史 先生の講義動画です。
原理から解析に至るまで丁寧に説明がなされています。